企業の実践例

平成27年度 京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業表彰 市長賞日栄無線株式会社ニチエイムセンカブシキガイシャ

平成27年度京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業表彰市長賞を受賞したのは,無線通信や携帯電話等を販売する日栄無線株式会社です。

社員のワーク・ライフ・バランスを高めるために社内で取り組んでいることや,そこにある経営者としての思い,そして今後の課題などについてお話をお伺いしました。

 

(平成28年1月発行,真のワーク・ライフ・バランス通信6号より抜粋)

ワーク・ライフ・バランス向上への取り組み

  1. 短時間勤務制度

    短時間勤務制度の対象年齢を小学校卒業まで延長

  2. 女性の活躍推進

    女性管理職への登用に力を入れており,管理職への登用実績がある(33.3%)

  3. 地域活動への参加

    会社ぐるみで町内会活動に参加するほか,従業員の地域活動従事のための特別有給休暇制度や,PTA活動参加のための短時間勤務制度の導入を行い,社員が地域活動に参加しやすい環境づくりを実施(本市補助金利用)

取締役社長志磨 弘道 さん

子育てと両立しながら働きやすい職場へ

子育てと両立しながら
働きやすい職場へ

 短時間勤務制度の対象年齢が法定では3歳のところを,日栄無線では小学校卒業までに延長するなど,女性が働きやすい職場づくりを実践しています。

 「以前携帯電話ショップでは離職率が高く,その理由の大半は出産や子育てなどでした。それなら両立しながら働きやすい環境をつくるから職場復帰をして欲しい,という思いで制度を改めました」と語るのは,取締役社長の志磨弘道さん。20時まで営業する携帯電話ショップでも短時間勤務制度を確立することで,子育て世代の女性が早く帰れるようにしたのだと言います。ほかにも,有給休暇を半日単位で取得できるようにするなど,積極的に職場環境を整えているそう。

 「私は別の会社に勤めていたときから,ワーク・ライフ・バランスを意識して働いてきました。オンとオフをきちんと切り替えれば,集中して効率よく働けますから。家庭あってこその仕事だとも考えています。自分が経営者になってからは,会社全体でそれを実現させていきたいと思っています」

 

サポート制度を活用して
地域活動と育児参加を

 長く親しまれる会社になるためには地域活動も大切だと感じている志磨さん。近くの神社や学園祭に協賛したり,イベントのお手伝いをしたりするなど,できることから始めているそう。

 「会社としてだけでなく,社員個人にも積極的に地域活動を行って欲しいと考えています。子育てをするうえで欠かせないPTA活動には,特に男性にも会社の制度を活用して参加して欲しいですね」と,自らが子育てを行った経験から,積極的な育児参加を促しています。

 現在,社内で好評な夕活は社員の声から生まれたもの。営業終了時間が遅い携帯電話ショップでも,月に一回は17時に帰れるようにシフトを組んでいると言います。

 「社員から要望があり,翌日には夕活の制度を設けることに決めました。すぐに対応できるのが,中小企業の強みです。その利点を活かしていきたいですね」

 そんな志磨さんが感じている今後の課題とは。

 「社内への周知が一番の課題ですね。制度があっても利用されないのでは意味がありませんから。以前は周囲の理解がなく,早く帰る従業員が罪悪感を持つこともありました。今後はそういうことをなくすためにも,説明責任を果たしていくことが私の役割だと考えています」この賞が周知のきっかけとなり,年次有給休暇の取得率が上がることを志磨さんは期待しています。

従業員三谷 恵 さん

仕事と家事の両立で 大切なのはメリハリ

 子どもの小学校入学と同時に携帯電話ショップで働き出し,10年目を迎えた三谷恵さん。毎朝6時すぎに起き,弁当作りや洗濯などの家事を約3時間こなしてから出勤するスタイルを続けているそう。

 「私の勤務時間は9時30分~19時で,仕事後に買い物をして帰り,夕飯を作る毎日です。仕事と子育ての両立は忙しいですが,自分の都合に合わせて休みを取れるので長く続けてこられたと思います」と笑顔で話します。子育てをしている中で休みが必要となったとき,状況に合わせて会社が柔軟に対応してくれたこと。そして社内の理解が嬉しかったそう。

 仕事と家事,子育てに追われる毎日を笑顔で過ごすコツとは。「上手に息抜きを見つけることですね。楽しむときに存分に楽しめば,仕事も頑張れると思います。リフレッシュが大切ですね」とこれから社会に出る若い人に向けてのメッセージをいただけました。

携帯電話ショップマネージャー樫木 章文 さん

一児の父として,ますます仕事に前向きに

 「夕活制度のおかげで普段は閉まっているお店に行けたり,家族との時間が増えたりと,時間を有効に活用できるようになりました」と語る携帯電話ショップマネージャーの樫木章文さんは,第1子が誕生したばかり。社長が社員のワーク・ライフ・バランスに理解を示している姿勢を受け,樫木さん自身も育児や地域活動への参加を意識するようになったと言います。

 「職場の雰囲気もよく,お互いの事情などを理解し合えていると思います。理想通りに働けている実感がありますが,会社のサポートなどを当たり前と思わず,改善できることは自発的にしていきたいですね」と今後の抱負を語ってくれました。

日栄無線株式会社

事業内容 通信機器の販売
本社 京都市伏見区竹田中川原町83-1
HP http://www.nichiei-musen.co.jp/