企業の実践例

従業員の声を
働きやすい職場づくりに活かす

　土日の勤務など就労時間が不規則な美容室の現場。結婚や出産を迎えても従業員がいきいきと働き続けられるよう，株式会社オックス・クリエーションでは，フレックスタイム制度や短時間勤務制度の対象年齢の拡充など，様々な制度を設けることで，従業員に寄り添った働きやすい職場づくりを行っています。

　このような取組が始まった経緯を，取締役総務部長の山本亜久里さんに伺いました。「きっかけは育児休業から復帰する女性従業員が，社長に挨拶に行ったことです。社長は従業員の意見をとても大切にしているので，子育てと仕事の両立に取り組む彼女の率直な意見を聞き，仕事と家庭を両立するための働きやすい職場づくりを進め始めました。当社では現在，個人の希望をできるだけ叶えるため，店長との面談を定期的に行っています。上司が部下の個々の状況を正確に把握し，柔軟な働き方を支援することが大切だと思っています」。

働きやすい職場づくりが
お客様サービスの向上に

　また，従業員が育児や介護と両立して働けることが，お客様の満足度にもつながっていると，山本さんは話します。「美容師という職業は，年数を重ねて技術を磨き，美容における生涯パートナーとしてお客様と関わり続けていくことが魅力です。技術があり，お客様の信頼を得ている従業員が，辞めずに働き続けられるというのは，私たちにとっても，お客様にとっても嬉しいことなのです」。

　働きやすい職場づくりを進める中で生まれた新しいサービスもあります。週２回設置しているキッズルームは，子育て中の従業員の提案から生まれました。「保育士の方に見てもらえるので，お客様も安心。施術スペースと離れた場所にあるため，子どもの事を気にせずリフレッシュできると，好評いただいています」。

　「さらに，当社では，数年前から福祉施設でのチャリティーカットも行っています。私たちだからこそできる方法で，社会に貢献できれば」と山本さん。会社が社会貢献の場を整えることで，従業員の「真のワーク・ライフ・バランス」の実現に役立っています。

　「美容師は，お客様が自分に自信を持つお手伝いが出来る素敵な職業。そんな仕事を出産や介護を機に手放すのはもったいないです。今後も男女問わず，ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける職場にしていきたいです」と山本さん。働きやすい職場づくりに向けた今後の目標を語ってくださいました。

　昨年の７月から，ゼネラルマネージャーとして活躍している清水由佳さん。複数の店舗を統括管理する立場から，各店舗の店長や従業員と積極的にコミュニケーションを取りながら，風通しの良い職場づくりを目指しています。

　今後，自身のライフスタイルが変わったときにも，変わらず働き続けたいと清水さんは話します。「多様な働き方を受け入れられる会社をつくるには，多様な働き方を実現している従業員が増えることが必要だと思います。私自身，ライフイベントを迎えても長く働き続けたいという思いがありますので，今後も働きやすい職場づくりに努めたいと思います」。

　そんな清水さんの最近の喜びは，後輩の成長を見ることです。後輩がお客様に指名される姿に喜びを感じ，それが自身の励みにもなっていると語ります。「仕事を頑張ることは，女性としての魅力を磨くことにもつながるのでは。これからも，活躍する女性が増えてほしいと思います」と，今後の期待を語ってくださいました。

　石川祐子さんは，現在，２児の子育て真っ最中。時短制度を活用して働いています。短い時間の中で成果を出すことを意識するようになったという石川さん。うまくスケジューリングすることを心掛けているそうです。

　一方，育児の面では，家族の協力が大切だと石川さんは話します。「家事や育児については，夫と役割分担をしており，子どもが体調を崩したときには，母の力も借りています」。また，出産を機に地域ともつながるようになったと石川さん。「子育てをする中で，自然と地域とのつながりが生まれ，地域の行事にも積極的に参加するようになりました」。今後はさらに働きやすい職場にするため，自身もサポートする側にまわっていきたいと話してくださいました。