市民の実践例

作品タイトル 核家族共働き夫婦の仕事子育て両立術平成29年度 特別賞 受賞臼井 郁子 さん

 ここでは,平成29年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰において,特別賞を受賞された,臼井郁子さんのエピソードについて紹介します。

核家族共働き夫婦の仕事子育て両立術

1 新しい命を迎えて

 私たち夫婦に一人目の子どもが生まれたのは,平成27年の冬でした。京都市で働き始めてから5年,夫婦共に九州出身でそれぞれ両親から離れた地で子育てを始めることになり,大きな不安がありました。

 これまで,夫婦で協力し仕事と家事を行っていた二人でしたが,子どもが産まれることでよりいっそう協力し合わなければ,という意識を共有したのを覚えています。

 育児についても,お互いに協力し合うという考えは変わらなかったため,夫婦で育児休業を同時取得することに特に迷いはありませんでした。

2 共働き子育ての大変さ

 約1年の育休期間を終え,仕事を戻る事になった二人に訪れたのは,フルタイムで働きながら家事・育児をするという過酷な試練でした。

 毎日毎日が嵐のように過ぎて行き,夫婦で子どもを寝かしつけたまま寝入ってしまい,翌朝ばたばたと忘れていた家事に奔走するといったことも多々ありましたし,体調を崩してしまう事もありました。

 子どもが熱を出した際は,両親・義両親が離れた地にいるため,夫婦のどちらかが仕事を切り上げ,保育園にお迎えに行かなければいけません。1日2日なら,仕事もやりくり出来ますが,例えばそれが長期になった場合,夫婦でどうにか連携して仕事を休むしかありません。仕事をいかに効率的にこなし,突然の呼び出しにも対応できるように常に意識して周囲と調整しておくか,家事育児をどうやって連携させていくかは夫婦の共通課題でした。

3 両立するために

 仕事・家事・育児を充実させ,そのほかのことにも時間を作りたい。(夫婦共に音楽活動が趣味です。)

それを実現させるために私は,以下の事を心がけています。

 まず一つ目,仕事に関しては,仕事の効率化を図り,長期的展望で業務を把握するということです。仕事の効率化の面では,パソコンの共有フォルダ等を体系的に整理する,現状の作業手順を見直し,より効率的な作業を模索する等を行い,業務のコンパクト化に努めました。また,仕事上の長期の計画と家庭での予定(保育園の行事等)を把握することで,忙しい時期,休まなければいけない時期を早い段階で意識し,周囲や夫の仕事と調整することで,互いの職場への負担を減らすよう心がけています。

 二つ目は,家事・育児にフレキシブルに対応するための環境づくりです。具体的には,夫とのこまめな連絡調整を心がけ,夫婦共にどんな手順で家事(料理,掃除,洗濯等)育児(保育園への連絡・準備品の把握,食事,オムツ替え,寝かしつけ等)を行っているかを共有し,夫婦どちらであってもそれが出来る状態をつくるということです。例えば,早く帰れる方がお迎え,帰宅後の子どもの世話,遅くなる方が夕飯の買出し,調理をするなど,その日その日で一番効率の良いやり方で家事育児を行っています。

 三つ目は,地域の目をつくるということです。これは,即時的な効果があるものではありませんが,子どもが産まれてから心がけていることでもあります。ご近所の人に毎日あいさつをし,地域のイベントに顔を出し,家族の顔を覚えてもらう事で,有事の際の助けになりますし,地域との交流は地域で暮らす私たち自身にとっても大事なことです。単純に,顔見知りの人に子どもを見守ってもらえる事は親としても安心な事でもあります。

4 さいごに

 核家族共働き夫婦が子育てを行う事は,今や珍しい事では無くなってきました。もちろん,行政や地域の大きな支えは必要ですが,仕事と家事育児を両立させ,活き活きとした人生を共に歩むために,まずは最初に夫婦で協力し合うことが不可欠だと思います。

 いろいろと工夫をしても,共働き子育て1年生には,まだまだ大変な事が多く,くじける事も夫婦でぶつかる事もありますが,共に協力し合って乗り越えていきたいと思います。