市民の実践例

平成25年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード 市長賞受賞子育てエピソードで市長賞受賞!河村 健太さん

ここでは,河村さんのインタビューを御紹介します。

【河村健太さんプロフィール】
 京都市生まれ。小学校教員7年目。昨年現在の小学校に赴任し,学年主任を任される。6年生の担任。1歳の長女を持つ。趣味はランニングで京都マラソン2014に出場。

平成25年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰 市長賞受賞

◆男性でも仕事と子育てを!両立できる職場へ◆
 「昨年異動となり,新しい学校で学年主任を任されました。慣れない環境に責任ある立場へのプレッシャーのなか,遅くまで残業して何とか仕事をこなしていく日々でしたね」と,赴任してからの一年間を振り返る河村健太さん。時を同じくして長女が誕生し生活に“子育て”が加わり,更に忙しくなっていったと語ります。
 「娘が生まれたことでより時間に余裕がなくなり,心身共に疲れ果てていきました。こんな状態で,教員として子どもたちを支えていけるのだろうかと,悩みましたね。小学校の業務が多様化して教員が忙しくなり,何が大切なことなのかが職場でも見えづらくなっていることも感じまして。それで職員会議の場で,余裕を持つためにも自分たちのワーク・ライフ・バランスについて考えていかなくてはいけないのではと,意見しました」と話しますが,状況は簡単には変わらなかったそう。悩みをメンタルヘルスの相談窓口に話したこともあったと語ります。
 「相談窓口で心療内科の受診を勧められたとき,何か違うなと。自分で働き方を変えていこうと決心しました。男性でも利用できる育児支援制度がないかをすぐ調べ,『育児時間制度』の存在を知り,管理職の先生に取得させてくれるよう,お願いに行きました」。
 45分単位で1度に最大90分取得できる『育児時間制度』。これまで実績のなかった制度の利用を,管理職の方は快諾したそう。
 「会議のない月水金に利用できるよう,部活動の顧問を外してもらいました。子育ての時間が確保できるようになったのも,周りの理解があったことが大きいですね。結局『育児時間』を取得できたのはまだ数回なのですが…」と話しますが,前例のないことに取り組むことは男性の育児参画への大きな一歩だと実感しているそうです。

◆生活スタイルを変えて,作業効率を大幅にアップ◆
 河村さんの育児参加への努力はこれだけではありません。
 「残業で仕事していても,なかなか効率が上がらないですし,子育ての時間も確保したかったので,思い切って1日の生活時間を変えることにしました。朝は4時半から5時くらいに起き,7時すぎには学校に着いて授業前に仕事。そして残業せず早めに帰宅して家族と時間を過ごし,9時には寝ることにしました」。
 生活を変えて,驚くほど仕事の作業効率が上がったそう。以前まで8時か9時くらいまで残業していたのが,今では5時半くらいに帰ることもあるのだとか。
 「朝の45分間が授業後の残業2時間くらいに相当しますね。気持ちも余裕を持てるせいか,アイデアがひらめくことも多いです。何といっても,今私の生活のなかでは娘が中心。娘を8時~9時までに寝かせることが1日の目標で,そこから逆算して考えています」とのこと。帰宅後は長女をお風呂へ入れることが,河村さんの大事な仕事なのだと言います。
 「長女と一緒にお風呂に入る時が,1日で最も癒される時間ですね。そのために頑張れています」と嬉しそうに語ります。

◆イクメンという言葉がなくなる時代に◆
 
いわゆる“イクメン”の河村さんですが,その言葉には違和感を覚えると語ります。
 「子育てする男性をイクメンとして社会では提唱していますが,その言葉自体,男性の子育てが特別視されている証拠。父親が子育てするのは当然のことですし,それが社会にも浸透し,イクメンという言葉がなくなればいいなと思います」。そんな河村さんは,今後も仕事と子育てが両立できるように,“河村家のライフプラン”を練っているのだとか。
 「妻が職場に復帰して子どもが幼稚園に行くようになったら,2人で交代して短時間勤務制度を利用しようかなと考えています。夫婦ともに仕事と子育てを両立させていきたいですからね。子どもの成長を軸にして,今から色々な支援制度を調べています。もちろん,仕事と向き合えることも大切にしていますよ」と話す優しい笑顔のなかにも,力強さを感じました。

(*2014年1月発行 “真のワーク・ライフ・バランス通信第2号”より)

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