市民の実践例

人と人とをつなぎたい。自然体で地域づくりに挑む23 歳の自治会長スカイハイツ町自治会長宮西 勇人 さん

マンション内の融和を目指して,自治会長として日々奔走する宮西勇人さん。交流会の開催だけではなく,子どもやお年寄りを見守ることも,自治会長の大事な仕事だと言います。「自治会長としての義務という気負いはなく,ただ自分の好きなことをしているだけ」とあくまで自然体な23歳の自治会長に,日々の取組をお聞きしました。

【宮西勇人さんプロフィール】
 
京都市右京区の嵐山学区にある,約60世帯が住むマンション,通称スカイハイツ町の自治会長。嵐山学区の自治会連合会の副会長も兼任している。保育士。

人と人とをつなぎたい。自然体で地域づくりに挑む23 歳の自治会長

◆自分を育んでくれた地域に、今自分ができること◆
 「住民全員を把握している自分が,マンション住民の橋渡し役になりたい。交流の場となるようなイベントを企画して,その案内を一軒一軒手渡ししながら,参加を呼びかけています」と語る宮西さん。地域の既存の行事だけでは,住民の交流が十分に深められないと考え,子どもやお年寄りの目線を大切にして,さまざまな会を開催してきたそうです。
 「クリスマス会では,子どもたちひとりひとりに希望のプレゼントを渡しました。マンション内の地蔵盆の行事が雨で中止になったときは,別の日に企画して。いずれの催しも,子どもたちの心に残るイベントとなるよう心がけています」と笑顔で話す宮西さんは,自治会長となることを,幼少の頃から思い描いていたと言います。
 「保育園へ通っていた時,行き帰りの道で会う地域の人たちが,優しく声をかけてくれて嬉しかった。その頃から,自分が見守る立場となったら地域で役職を持ち,今度は自分が子どもたちに安心感を与えたいと思っていました」と宮西さんは,地域全体で子どもたちを育んでいくことの重要性を語ります。

◆仕事も地域活動も“好き” がパワーになる◆
 自治会活動に力を注ぎつつ,職場では園内唯一の男性保育士として,子どもからの人気も高いそう。「地域の活動も保育園の仕事も,人とのふれあいが共通の軸。地域活動で幅広い年齢層の方と話をして養ったコミュニケーション力が,保育園の仕事でも発揮できていると思います」と話す宮西さんが,保育士を目指したきっかけとは。
 「最初に自治会長になった20歳のときは,大学も辞めていて,今後について悩んでいた時期でした。それで自分を見つめ直したときに,やっぱり,子どもが好き,地域が好きという2つの思いを強く感じて。保育士になろうと決意し,短大に入り直しました」と宮西さん。自分が本当に実現したいことだからこそ,仕事も地域活動も頑張れると実感しているそうです。

◆少子高齢化の社会。目指すは老保一体化◆
 約60世帯のうち,15世帯に20人の高齢者が住んでいるというスカイハイツ町。お年寄りには,見守りと交流が大切だと宮西さんは言います。「お年寄りを対象とした『まろや会』を開催していましたが,参加率が低いので新たな企画を考えています。今後は,お年寄りと子どもの交流の場をつくれたらと思います。核家族化が進み,今お年寄りと子どもの交流が少なくなっていますからね。両親以外から得る,大人の愛情も子どもには大事ですし,お年寄りにも話し相手が必要なはず。交流が深まれば,自然と住民同士の見守りにつながっていきます」と今後は少子高齢化の問題へも,意欲的に取り組みたいと考えています。
 他にも,宮西さんの思い描くプランは尽きません。「マンション住民で防災意識を高めていきたいです。バケツリレーを行なえば,同時にコミュニケーションも図れますし。あと具材を持ち寄って,豚汁の炊き出しなどもいいですね。それから,今後は学区の自治会連合会の副会長として,マンション以外の方との交流も広げていきたい。個人的には,保育士としてのキャリアアップも大きな目標のひとつ」と今後も地域活動と仕事,双方へ積極的に取り組もうとする姿勢がうかがえました。

◆あいさつのひと言で,世界は広がっていく◆
 23歳の宮西さんが,同世代の若者に伝えたいこととは。
 「社会に出て,人間関係に悩む若者は多いと思います。でもそこから簡単に逃げ出さず,向き合って欲しい。人間関係はやっぱり,あいさつが基本。おはようございます,というひと言で世界は広がっていきます」と,対話をモットーとする自治会長らしいメッセージをいただけました。
↓ 笑顔あふれる交流会です

 

↓ 子どもに向けるまなざしが優しい宮西自治会長

(*2013年3月発行 “ 別冊 男女共同参画通信―「真のワーク・ライフ・バランス」-”より)