企業の実践例

平成24年度「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業 市長賞 佐々木化学薬品株式会社佐々木化学薬品株式会社ササキカガクヤクヒンカブシキガイシャ

◆社員の声と経営者の思いが協同してつくりあげる,女性が活躍できる職場づくり◆
積極的な社員の声が経営者の職場環境改善の意識を高めるような、社員と経営者の信頼関係は、よりよい職場づくりに欠かせないものです。男女が共にいきいきと働き、社員自らがワーク・ライフ・バランスを向上させる、そんな佐々木化学薬品の今後が期待されます。

ワーク・ライフ・バランス向上への取り組み

  1. 看護休暇の利用条件改善

    子どもが小学校3年生まで利用可能に

  2. 介護休暇の利用条件改善

    同居している祖父母の場合,扶養していなくても利用可能に

  3. 仕事と家庭の両立支援

    育児休業,看護休暇,短時間勤務制度などを整備

  4. 有給休暇取得促進

    計画的付与の活用で休暇を取得しやすい環境づくり

  5. キャリアカウンセリング室設置

    カウンセラーによる面談で,社員の意欲を高める

代表取締役佐々木 智一 さん

♦女性が力を発揮できる職場づくりを目指して♦

 ワーク・ライフ・バランスに取り組んだきっかけは,営業や開発部門で積極的に女性を起用し始めたことで,女性社員の働きやすい職場づくりを意識したこと。結婚や出産で仕事を区切るという時代でもなく,そういう理由で女性の人材を失いたくないので,その下地作りと考えています。女性の登用は企業の成長につながるとも確信しています。会社の理念は「喜びの創造と技術の革新」。お客様だけでなく社員の喜びも総和して技術の革新,生産性の向上にもつなげていけたらと考えています。

経営管理部 総務課 副責任者加藤 和子さん

1991年入社。出産毎に育児休業制度を利用して職場復帰,現在は短時間勤務制度で働きながら2児の子育てを行う。

◆最初の制度利用者として、働きやすい職場づくりを提案◆ 

◆最初の制度利用者として、働きやすい職場づくりを提案◆
 「私が育児休業制度利用者第一号でした」と話す加藤和子さんが、最初に制度を利用したのは1999年。社内で制度利用実績がないという不安のなか、加藤さんの背中を押したのは、労務管理などを行う社労士の『辞めないで育児休業制度を使ってほしい』というひと言でした。
 妊娠しながら働くことは身体的につらい日もあったと振り返る加藤さんですが、出産の度に会社へ復帰、今でも働いていてよかったと言います。
 「以前は、子どもの看護休暇と短時間勤務制度の利用対象が小学校就学までだったのが、平成22年7月より小学校3年生までに拡大しました。短時間勤務制度の利用延長で、子どもを小学校へ送り出してから出勤できるので、子どもも安心して投稿できます。また、明確な理由のある看護休暇は、有給休暇よりも休みをとりやすい、という男性社員の声もよく耳にします」と話す加藤さん。このような社内の両立支援制度が年々改善され、その利用実績を高めているのには、月1回の『検討会』での提案が大きく影響を与えていると言います。
 『検討会』とは、加藤さんをはじめとした社員が実際に利用してみて感じた、両立支援制度の使いづらさや職場での問題点を発議し、改善策を提案する会のこと。話し合われた内容は、役員会にあげられ、経営側で制度が見直されるきっかけになります。「最近改善された、介護休暇の利用対象者の拡大なども検討会の提案がきっかけです。制度利用者の声が反映できる検討会の存在は大きいですね。有給休暇に関しても、部署によって取得の差があったため、社員が均等に休みをとれるように提案しました」と語ります。

◆日曜日は子どもと土いじり。仕事がうまくいけば,家族も円満◆
 平日は帰宅後、就寝まで休む間もないと語る加藤さんですが、休日は家族との時間をのんびり楽しんでいると言います。
 「休日は家族で畑の作業をしています。最近は学校でも食育が注目されているので、野菜を育てて食べて、家族の時間も一緒に楽しんでいます。こうして私生活が充実しているから、仕事も頑張れるんだと思います。逆もまたそうで、仕事がうまくいけば家庭もうまくいく、そう感じています」といきいきと語ります。
 両立支援制度を利用することで、今は理想に近い生活が送れていると語る加藤さん。社内にもっと制度を利用できる雰囲気を作りたいと言います。「制度があっても利用しなくては意味がないですから、自分のあとに続いて、他の社員にも使って欲しいという気持ちがあります」と語ります。しかし実際に制度を利用していくうえでは、利用者だけではなく周りの理解や協力も不可欠。「子どもが急に発熱したときなど、早く帰るようにと、同僚たちがいつも声をかけてくれます。申し訳ないという気持ちのなかでも、周りの後押しがあって帰らせてもらうことができています。この環境にいられることが仕事と子育てを両立するうえで大きいですね」と加藤さんは、社員全員で意識を高めることの重要性を実感しています。

◆今のライフスタイルを維持し,今後も働いていきたい◆
 検討会などで日々制度の改善は進められているものの、まだ他にも課題はあります。「男性の育児休業がとりにくい、という意見をよく聞きます。せめて1週間でもとって、家族のために時間を使って欲しいですね。母親だけが子育てをする時代ではないし、父親にも育児参加や子どもの成長を見て欲しい。その思いから、男性社員には休みをとってでも子どもの行事に参加するように、と日々声かけをしています」と仕事をしながら子育ても頑張る加藤さんならではのひと言。検討会で今後提案したい意見も、同僚と話し合っていると言います。
 「バースデー休暇があったらいいなぁとか、勤続年数によって長く休みがとれたら、という話が出ています。看護休暇だけではなく、子どもの行事のためにも休暇制度を設けてもらえたら、とかも。既存の制度も、変えていく必要があれば今後も会社に投げかけていきたいとも考えています」と語る加藤さんが、今の若者へ向けて発したいメッセージとは。「子育ては大変だからこそ楽しさがわかり、仕事だけでなく子育てで得られるものも大きいです。どちらも頑張ってほしいと思います」。

経営管理部 総務課三原 佳美さん

会社でワーク・ライフ・バランスを推進するためには?

 今の時代,ワーク・ライフ・バランスを保てる会社への関心が高まっていることを実感していますが,自分たちで会社を変えていこうという気持ちも持っていて欲しいですね。

佐々木化学薬品株式会社

事業内容 試薬および化学工業薬品の開発・製造販売
本社 京都市山科区勧修寺西北出町10
HP http://www.sasaki-c.co.jp/