市民の実践例

平成26年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰「NEXT MOVE チャレンジ賞」受賞岡本俊則さん

ここでは,平成26年度「真のワーク・ライフ・バランス」実践エピソード表彰で,「NEXT MOVE チャレンジ賞」を受賞された,岡本俊則さんのエピソードを紹介します。

「NEXT MOVE チャレンジ賞」

 我が家には3人の子どもがおりますが,結婚してからずっと共働きでやってきています。二人の職場は2交代制職場ですので,結婚当初から,家事は分担してやっていました。3人の子どもたちがそれぞれ産まれた時も,妻は1年間の育児休業の後,職場復帰をしています。職場の勤務の都合上,どちらかしか夜にいないことも多くありましたので,子どもたちを保育所に迎えに行き,夕食を準備し,子どもたちと過ごす。そのあと風呂,明日の準備,就寝までをこなす日々は結構大変でした。きっとそれは,私も妻もそうだったと思っています。そのお蔭で,独身時代はほとんど料理などすることはなかったのですが,今では,冷蔵庫の材料を見て,献立を考え作れるようになりました。「揚げ物はおとーの方がうまい」とまで言われるようになりました。そして,今でも料理,買い物,洗濯,掃除と手の空いている方が分担して行います。

 もちろん,今では大きくなった子どもたちにも家事の分担はあります。子どもたちがまだ保育園の頃は,夜は夜で子どもたちを早く寝かせないといけないという思いで,それまでの時間に追われます。朝は出勤時間に間に合うように朝食や保育園の送りなど物事を終わらせなければなりません。余談ですが,私は朝の忙しいときの保育園の子ども布団のシーツ替えが大の苦手でした。そんなとにかく忙しい毎日でした。そんな時,思い出すことが” NEXT MOVE” “ RECORD BACK” “FOLLOW UP”の3つでした。

 話は飛び,ずいぶんと昔のことになりますが,学生の頃,大阪府でキャンプカウンセラーといって,ひと夏,キャンプ場に常駐し子どもたちと一緒にキャンプをする活動をしていました。その時に,先輩たちに厳しく教わったことが,「次に何をするのか」を考える姿勢と行動=”NEXT MOVE” ,行った行動に対する報告=“RECORD BACK”,お互いの信頼と共感にもとづく運営組織づくり=“FOLLOW UP”でした。

 この“NEXT MOVE”は,家事にとても役に立ちます。たとえば,料理ひとつをするにしても,料理の支度だけを考えるのではなく,片付けや整理などこの先行わなければいけないことを同時に考えます,段取りとその動線にある動きの中でこなしてゆけるよう行動すると,とても時間を縮めることができます。できる料理人は鍋を洗いながら料理をするというようなことです。

 もちろん,“ RECORD BACK” は子どもの小さいときの我が家では,すれ違い言葉にできない時には連絡ノートの活用をしていましたし,“FOLLOW UP”は言わずもがなですね。

 さて,このように,子育てに奮闘してきた時間はあっという間に過ぎ,今は親の介護の時へと移ってきました。認知の父の世話では,当然食事の世話や洗濯などは子育て時代の奮闘が生きています。

 もうひとつは,仕事で考えることも多くあります。若い職員には,いつも仕事の成功は「段取り八分」と伝えます。つまり,ひとつの仕事の成功は,数々の” NEXT MOVE”の積み重ねが成否の80%を占めるのだと,伝えています。また,子育て時代の奮闘が,結構大変なことが多いのですがなぜそれができるかというと,やはり家族を愛しているから,だと言えると思います。同じように仕事では,「仕事を愛し,職場(施設)を愛してください」と伝えます。執務する場所や人間関係,仕事内容も含め職場(環境)を愛することは,先に述べた“FOLLOW UP”の姿勢が生まれますし,家庭同様,細やかな気配りや愛着が生まれてきます。

 私は,何も大げさなことをして!と望んでいるのではありません。コマーシャルではないですが,すこしの愛着が,なが〜く愛することになるのだと思います。また,同じようなことが地域活動でも言えると思っています。子育て期間には,多くのことを親も学ぶ期間です。例えば,家事や地域デビュー,環境意識の芽生え,仕事や家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)などです。この時期は大変と思いがちですが,振り返ると短いものです。とにかく楽しんでいただきたいと思います。